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　発足１カ月あまりの第２次安倍晋三改造内閣に対し疑念が広がっている。新閣僚を中心に違法性や適切さが問われる政治活動が次々と明らかになっているのだ。

　臨時国会は衆参両院の代表質問と予算委員会で序盤の論戦が終わったが、当事者からは曖昧な答弁が相次いだ。

　これでは政治の信頼を保てない。指摘された疑問に対し、もっと責任ある態度で説明すべきだ。

　参院予算委で松島みどり法相は、地元の夏祭りで自らのイラスト、名前、政策が書かれた「うちわ」を配ったことが、選挙区内での寄付行為を禁じた公職選挙法違反にあたると追及を受けた。

　法相は「うちわに見えるかもしれないが、国会議員の活動報告などを印刷した討議資料だ」と説明した。こじつけとしか言いようがない。国民を甘く見ていないか。

　法務行政のトップに立つ法相は「法の番人」と言われる。閣僚の中でも特に法律を厳格に順守すべき立場だ。松島氏にはその自覚が足りないと言わざるを得ない。

　安倍首相は「今後は配布しないことが望ましい」と述べた。野党からは辞任を求める声が出ている。法相は「うちわ」を配った経緯などを丁寧に説明すべきだ。

　山谷えり子国家公安委員長は「在日特権を許さない市民の会（在特会）」関係者と一緒に写真を撮ったことが指摘された。詳細については「たくさんの方と写真を撮るので分からない」と答えた。

　在特会は在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチを続けていることで知られる。国連人権規約委員会が差別をあおる宣伝活動の禁止を勧告した。

　「分からない」では国民だけでなく、海外への説明責任も果たせない。どんな関係を続けてきたのか明らかにしてもらいたい。

　この問題では野党議員による品位を欠くやじも問題になった。反省し再発防止を図るべきだろう。

　江渡聡徳防衛相の資金管理団体が江渡氏個人に寄付をしたと政治資金収支報告書に記載した問題も問われた。記載内容は政治資金規正法で禁じられている行為だ。

　防衛相は「事務的なミスで、訂正した」と説明した。だが、政治資金を扱う上での基本であり、不注意のそしりは免れない。

　同時に問われるのは首相の任命責任である。指摘された問題は任命する前に認識しておくべきことであり、知っていたなら首相にこそ説明が求められる。今後国会でその責務を果たすべきだ。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/567591.html