108f5050

204: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:31:23.52 ID:T6f9KzZ2P
夜10時
見滝原の住宅街を並んで歩くゴルゴとほむらの姿があった。ゴルゴは両手に二つのスーツケースを提げている。
ほむら「反応があるところからもうすぐよ」
ほむらは手のひらに輝くソウルジェムを乗せながら歩いている。
二人が歩みを進めるたびにぼおっと輝くソウルジェムの光が強くなっていくようで、二人は今、魔女化したマミを倒すべくその居場所に向かって歩いているところなのだ。

ほむら「正直、魔女化したマミと戦うことになるとは思っていなかったけど、彼女は私たち魔法少女の中でもずば抜けて強い存在だったわ。
 それが魔女化したとなると、私たち4人が揃っても勝てるかどうかわからない」
ゴルゴ「・・・
 -これに…特に魔力を込めることはできるか…?」
ゴルゴは上着のポケットに手を入れると、一発のライフルの銃弾を取り出した。ほむらは一瞬不思議そうに見ていたが、
ほむら「・・・いいわ、やってみる」
ゴルゴから弾を受け取り、パアァァァァッという光と共に魔力を強く込めた。
ゴルゴ「・・・」
再び受け取り返して、ポケットにしまい直すゴルゴ。
00: オレ的VIPPER速報てきなやつ 2014年 RSS記事一覧 :ID/dkajdiojf
205: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:32:26.10 ID:T6f9KzZ2P
二人が進むと住宅地が終え、そこから先は舗装された道路が通っているものの、両側に木々の林や空き地がまばらに広がった地帯だった。
そして、住宅街の一番端に隣の家と少し離れて、周囲に高い塀を巡らせ、その内部で好き勝手に生えた木々や草花に荒らされた広い敷地の真ん中に、古く荒れ果てた洋館が立っていた。
ここが魔女化したマミの反応があった場所だ。
二人が館の前に来ると、すでに魔法少女に変身し終え、待ちくたびれたといった風に首の後ろに槍を回し、両腕を掛け、片足に重心をかけて体を傾けた姿勢の杏子と、まどか、さやかがいた。

206: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:33:15.40 ID:T6f9KzZ2P
杏子「おっせ~な~。待ちくたびれたぜ」
片手で槍の柄をぽんぽんと叩いて弄びながら、二人が来るのを認めた杏子が声を出した。
ゴルゴとほむらは黙って鉄の門扉前に進み、三人と合流する。
ほむらが門扉を閉じたチェーン錠に魔力を加えると、パラッと錠が解け、結合部が外れた。チェーンを引き抜いて5人は中に入る。
ほむら「-ここのようね」
がさがさと生え放題の雑草や低い朽ち木、落ちた木の葉や枯れ枝を踏み分けながら、館の側方に回り込むと、
風雨にさらされて表面が荒れ、ところどころひびが入り、黄ばみ、黒ずんだ壁面に盛り上がる形でカビのようなものが根付いているのが見えた。居ついた魔女の結界への入り口だ。

207: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:34:48.28 ID:T6f9KzZ2P
ゴルゴはしゃがみこむと、地面に置いた二つのスーツケースを開け、そこにそれぞれ収納された二つのライフルを手際よく組み立て始めた。
その間に魔法少女に変身するほむらとさやか。
杏子はその様を退屈そうに見ていたが、やがてほむら、さやか、まどかに向かって
杏子「あんたらのことはよく知らないけど、同じマミに世話になったよしみだ。一緒にマミを眠らせて楽にさせてやろうぜ。
 -ちらと二つ目の銃を組み立ているゴルゴの方を汚いもののように見ると-ただ、あいつが今回ついてきてるのは気に食わねえけどな」
声を上げるまどかとさやか
まどか「-杏子ちゃんっ・・・!」
さやか「-あんたっ-・・・東郷さんは何度もマミさんを助けて・・・!-」
ほむらは黙って聞いているだけだ。
三人のやり取りも、時々チラチラと向けられる杏子の見下した眼差しも意に介さず、黙々と二つのライフルを組み立て終え、チェックを済ませたゴルゴは、
愛銃のM-16の方に先ほどほむらに魔力を込めてもらった銃弾をポケットから出して装填し、肩にたすき掛けにしたベルトで背負い、
左手にブルパップのアサルトライフル、右手に懐から取り出した拳銃を持った。
ゴルゴ「待たせたな…。準備はできた…。行こう…」
杏子が小馬鹿にしたように声を上げる。
杏子「はっ、よう~やくかい。夜が明けるかと思っちゃったぜ」
ほむらはそんな二人の間にさっと入ると、皆を促すように結界につかつかと近寄り、
ほむら「さあ、行くわよ」
結界に手を伸ばした。

208: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:36:14.11 ID:T6f9KzZ2P
ブワッ
活動するものも少ない深夜の住宅街の僻地の静寂が、5人の周囲を明るい黄色の極彩色の結界風景が覆うにつれ、
あちこちから『オホホホホホ』という声の反響のこだまに耳が痛いばかりにかき消された。
周囲の風景は黄色が基調だが、あちこちに赤やオレンジの墨流しの模様があり、ところどころに白黒のチェック柄の模様がデザインとしてあしらわれいる。

杏子「-うわ・・・」
周囲を見回して絶句する杏子。
杏子「-今まで知り合いが魔女化したのと戦ったことはないが、-こりゃマジでマミの風景だね。これはちょっと心にこたえるわ」
同じく苦しそうに顔を曇らせるさやか
さやか「マミさん・・・」
まどかは今にも泣きそうにぎゅっと胸のあたりで手を握りしめた。
ほむら「-」
ほむらも一瞬表情が揺らいだが、振り払うように前に進む。
ゴルゴは表情を一つも変えない。

209: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:37:09.21 ID:T6f9KzZ2P
5人が進むと『オホホホホホ』という声が一層強く響き出し、柱や、二階の高さに張り出す形の手すりがついた廊下が見える広間に出ると、
物陰に隠れていた紅茶やクッキーの形をした使い魔たちが、5人の姿を察知してわらわらと出てくる。使い魔たちはカサカサと素早い動きで迫ってきた。
ほむら「(-・・・来たっ!)
 -まどかはあたし達のうち誰か一人に必ず付いてなさい!」
ほむらがだっと走りだすと、全員が前に向かって突撃する。

210: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:37:49.86 ID:T6f9KzZ2P
ズキューンガウーンダーンターンダダダダダダッ ピンッ・・・ズガガガガガーン
銃と手榴弾で次々敵を掃討していくゴルゴを見て、槍で使い魔たちを薙ぎ払っていた杏子が目を丸くする。
剣を振り回しながら戦っていたさやかが杏子のそばに寄って、
さやか「どう?東郷さんすごいんだから。ああやっていつも戦ってマミさんを助けてきたんだよ」
呆然と見とれていた杏子だが、さやかの声を聞くといまいましそうに顔を背け「チッ」と舌打ちし、
杏子「-まあ、あたしに勝ったほどだからな。正直銃を使うとこんなに凄いとは思わなかったけどよ。ありゃなんかの殺し屋かなんかじゃないのかい?」
さやかは杏子の反応を満足そうに見やると、
さやか「へ~、ずいぶん素直じゃない」
杏子「-うっせーな!この際先に進むことが肝心だからな。-マミを眠らせてやるためにもよ」
最後の声は低くなっていた。それを聞いたさやかは得意げな顔を曇らせ、俯くと、声の調子を下げ、
さやか「-うん-・・・そうだね」
また元の位置に戻って敵を倒し始めた。

211: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:38:35.59 ID:T6f9KzZ2P
ダダダダダダッっと走る5人。まどかは主として常にかばい続けることに意識を置いているほむらの傍にいる。
幅広い廊下を走り抜けると、今度は先ほどよりさらに広い広間に出た。
これも柱の陰などに使い魔たちが隠れているようだが、磨き上げられた床面のあちこちからうにょうにょと海草のように揺らぐ黄色いリボンの先が覗いている。
ほむら「-!」
先頭ののほむらに合わせる形で全員が立ち止る。
さやかが暗くも、おぞましいものを見たような声で言う。
さやか「-これひょっとして・・・」
舌打ちする杏子。
杏子「-チッ-マミのあの魔法だな」
まどか「マミさん・・・」
まどかは今にも泣きそうになっている。
と、一番端にいて、一歩足を踏み込んだ形の杏子に向かって、横の死角に当たる部分からしゅるしゅるとリボンの一本が伸びてきた。
杏子「!」
さっと反応して槍を薙ぎ払う杏子。その刃状の穂先に当たって真ん中あたりで断ち切られ、ぽとりとリボンの先が落ちた。
まだうにょうにょと動いている根本と、落ちたリボンの柄は、黄色地に赤い血を流したかのような筋が付いている紋様だった。
「-!」
杏子とさやかとまどかは青ざめ、ほむらの顔にも一瞬深い翳が差した。

212: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:39:31.68 ID:T6f9KzZ2P
ゴルゴ「…ここから先は…、ナイフが必要のようだな…」
ゴルゴが足を踏み出してほむらの横に立つと、両手にそれぞれ持った拳銃とライフルを差出した。
ゴルゴ「魔力切れが近い…。魔力を込め直してくれ…」
ほむら「…」
ほむらが改めて魔力を込め入れた銃を受け取りなおすと、ゴルゴは拳銃を懐にしまい、しゃがみこんで足首につけたポーチからサバイバルナイフを引き抜き始めた。
その表情は敵地に身を置いた環境に警戒する厳しい表情から微塵も揺らぐことがなかった。
杏子「-チッ-、原因を作っておきながら、これを見て何とも思わないなんてほんと大したタマだぜ」
蔑むようにゴルゴを見やる杏子。
そんな杏子を意に介さず、右手にサバイバルナイフを構え直すゴルゴ。左手に持ったアサルトライフルを左右に振り、右手に持ったナイフとの重心をチェックし直している。
まるで相手をしないゴルゴに苛立ち、
杏子「さっさと準備しな。敵が近づいてくるぜ」
『オホホホホホ』という声を上げながら、黄色いリボンの草波の間をわらわらと使い魔たちが5人の方に向かって迫ってくる。
ほむら「ええ、行きましょう」
続いて自分用のサバイバルナイフを盾から引き抜き、ほむらは左手に持って構えた。

213: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:40:34.33 ID:T6f9KzZ2P
ザスッザスッ-
ターンターンダダダダダダ・・・-
5人がある程度固まり、剣を持つさやかと槍の杏子が足元のリボンを薙ぎ払い、ゴルゴとほむらが主として遠くより近寄ってくる使い魔たちを銃で撃ち倒していく。広間の中ほどまで来たとき
まどか「-きゃあっ!」
後方からまどかの悲鳴が聞こえた。充分に薙ぎ払いきれなかったリボンのうちの一本がまどかの脚に絡みつき、しゅるしゅると彼女の体を蔦のように絡みながらよじ登ってくる。
それを狙ってカサコソと素早く這い寄ってくる使い魔たち。
さやか「-まどかっ-!」
さやかが駆けつけようとした途端、

カチッ

214: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:41:32.48 ID:T6f9KzZ2P
次の瞬間寄っていた使い魔たちは全員銃弾によって穴を空けられた状態から、仰向けに倒れ込み、
いつの間にかリボンのトラップや使い魔たちから遠ざかった場所にいるまどかは体にリボンを絡み付けた状態ながら、
それは根元から切り離されてダラリと力を失っており、へろへろとまどかの体からはがれ落ちていった。
呆然と立ち尽くすまどかの傍には彼女をかばうように寄り添うほむらの姿があった。
さやか「-あ、あんた、一体何したのさ」
口をあんぐりさせてほむらを問い詰めるさやか。少し離れた場所からその光景を眺めていた杏子も唖然と口を開けていた。
ほむら「-私の魔法よ。-時間を止める能力のね」
ほむらはふぁさと銃を持っ たままの手で髪をかき上げるとこともなげに言った。
さやか、杏子「-!」
驚く二人に
ほむら「さあ、まだまだ先は長いわ。さっさと敵を倒しましょう。さっきみたいないざという時は私がまどかを守るわ」
まどかに傍にいるよう促すような動作をすると、再び正面に向き直り、遠くの敵を銃で撃ち倒し始めた。

215: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:42:29.88 ID:T6f9KzZ2P
5人が広間を抜け、さらに廊下を走り抜けると、高さが30メートルはある大伽藍のような巨大な広間に出、
その奥に金髪を高く結い上げ、白いフリルや縁飾りが多くついた黄色いドレスを着た大きな魔女が華やかな肘掛けに腰掛けていた。
鼻筋が通っており、形のいい唇の両端を魅力的に軽く吊り上げているが、両目はなく、その部分はつるつるでのっぺらぼうのようになっている。
-魔女化したマミ本体だ。魔女は右手にティーカップを持ち、左腕を肘掛け用の机に預けていたが、一行を認めると、唇の両端をますます吊り上げ、軽く口を開けて大音声で、
魔女『オホホホホホ!』
という声を上げた。人間だったころのマミの声に大部分は甲高い、そして一部低い声の成分がエコーでかかっているようだ。

216: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:43:17.42 ID:T6f9KzZ2P
「-!」
立ち止まって見上げる5人の耳をマミの大きな笑い声が圧する。
まどかは痛ましそうに顔を歪め、胸の前に組んだ両手をぐっと握りしめ、泣きそうな声で、
まどか「マミさん・・・」
声を漏らした。
さやかと杏子も痛々しい目で魔女をじっと見上げる。
ゴルゴの表情にも変化が現れたが、主として敵の観察に意識が向いているようで、目を細めてじっと魔女を見上げている。

ほむら「感傷に浸っている間はなさそうよ」
ほむらがさやかと杏子に注意を促す。
広間のあちこちから使い魔たちがそれぞれ『オホホホホホ』という声を上げてカサコソと現れ寄ってきて、
この広間のあちこちにもリボンのトラップがあるようだ。
地平を見渡して舌打ちする杏子。
杏子「-チッ。こりゃ手こずりそうだぜ」
ほむら「マミ本体がどんな攻撃をしてくるかはわからないけど-、とりあえず使い魔たちを倒していきましょう」

217: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:44:08.38 ID:T6f9KzZ2P
先ほどまでと同じように伸び迫ってくるリボンを薙ぎ払い、近づいてくる使い魔たちを撃ち倒していく4人。
魔女は机に左手を預けて、チェアに優雅に腰かけたまま目がのっぺらぼうの顔を5人に向け、時々『オホホホホホ!』という笑い声を張り上げる。
手に持ったティーカップに口を付ける様子はなさそうだが、時々ことんともう一方の机に置いてあるソーサーに置いて手を休めるかと思うと、また持ち上げる動作を繰り返している。

218: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:45:04.09 ID:T6f9KzZ2P
ほむら「(今のところ手出ししてくる様子はなさそうね…)」
使い魔たちを撃ち倒しながら、魔女の方を横目でちらりと見上げたほむらだが、
ゴルゴ「!」
使い魔たちに射撃を繰り返していたゴルゴがほむらの方をちらと見やると、一瞬目を見開いて、
ガウーン
左手に持ったライフルが火を吹き、銃弾はヒュンとほむらの傍をかすめて
ビスッ
と斜め後方で何かに当たる気配がした。
ほむらが慌てて振り返ると、頭を射抜かれたフランス人形がカタカタと頭を前後に痙攣するように振り動かしながら、
壊れかけたゼンマイ人形のような鈍い動きで両腕をぬうっとほむらの方に差し伸ばそうとする。
ほむら「-っ!」
額に汗を流して、顔を歪めたほむらはフランス人形をバシッと蹴飛ばし、仰向けに倒れたその胴体にダンと銃弾を撃ち込んだ。
倒されてからもカタカタと首と腰を痙攣するように上下に振って床の上を軽く撥ねていたフランス人形は胴体に打ち込まれた銃弾でカタと動きを止めた。
ゴルゴの方を向いて
ほむら「-ありがとう、助かったわ」
ゴルゴ「-いや…気を付けろ…」
ゴルゴは依然油断なく厳しい目で周囲に気配りをしている。

219: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:46:47.58 ID:T6f9KzZ2P
見ると、部屋のあちこちの磨き上げられた床面からぬうっと先ほどと同じフランス人形が浮かび上がってくる。
皆、魔女本体と同じのっぺらぼうの目だ。彼女らは赤い唇を開くと、『オホホホホホ』と、魔女本体をさらに甲高く、細くしたような声で笑い始めた。
しかし、魔女と違うのは、その後にいっと口を開けると、その上下から鋭い牙が現れ出たことだ。
彼女らは両手をもたげ、5人の方に差し伸ばそうとし、掴んだら噛みつこうという仕草で迫ってくる。
動きはそれほど素早くないが、何もない地面から突如として浮かび上がってくるので予測がつかない。
フランス人形の一群が姿を現すと、魔女が一際甲高く
魔女『オホホホホ!』
と満足そうな声を張り上げた。

さやかが湧き出てくるフランス人形を見て焦ったように眉をひそめる。
さやか「わわ…これ危ないよ。-まどか、気を付けな?」
まどか「-う、うん…」
一生懸命耐えるような顔でまどかがうなずく
杏子「-チッ、さすがマミだぜ。半端ねーや」
杏子がザスッと迫りよってきていたフランス人形の首を刺し貫き、その頭を落として動かなくした。

220: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:47:58.65 ID:T6f9KzZ2P
ザスッドカッガスッガガウーンダーン-・・・
4人があちこちからカサカサと迫り寄る紅茶とクッキーの魔物の群れ、突如として足元から浮かび上がってくるフランス人形達、リボンのトラップに大わらわになっていると、
ゴルゴ「-!
 -上を見ろ!危ないぞ!」
ふと上を見上げたゴルゴが声を張り上げた。
皆が見上げると、いつの間にか魔女が右手に持っていた紅茶を離して、椅子の肘掛け部に肘を立て掛け、その腕にもたせかける形で頬杖をついており、
自らの胸から頭のあたりの高さにかけて、二十数本のマスケット銃が銃口を上に向けた状態で空中に静止していた。
マミが魔法少女時代に使っていたものと同じだが、その銀の銃身のところどころに、地面から生えるリボンと同じように、血が流れた後のような赤い筋の紋様が通っている。
マスケット銃群は銃口を上に向けた状態から徐々に筒を傾け、地面にいる彼らの角度に照準を合わせ始めた。
「!」
ゴルゴが照準から外れようと必死に飛び退くと、さやかも白マントで覆い隠すようにまどかを抱きかば ってジャンプし、杏子は目の前に赤く透明な結界の壁を張った。

221: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:48:48.29 ID:T6f9KzZ2P
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダーン
マスケット銃の乱射は弾丸を霰のように飛ばし、味方の使い魔もろとも辺り一帯を撃ち払い、地面に数多くのめり込んだ穴を空けた。
辺りに硝煙の強い臭いが漂う。咄嗟に射程から外れたゴルゴとさやかはかわし、杏子は二重に張った結界の魔力でなんとか弾丸の飛来を歯を食いしばりながら防いだ。

222: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:49:37.46 ID:T6f9KzZ2P
一息ついたさやかだが、あたりをきょろきょろと見回し、
さやか「あれ、ほむらは?」
先ほどまで立っていた場所にほむらの姿がない。忽然と姿を消してしまったようだ。
と、ピカッという光に続いて
ドガガガガガーン
という爆音が鳴り響いた。光、押し寄せてくる爆風、爆音は上の魔女の方から来たものらしい。
皆が頭に手をやって閃光、爆風、爆音を防ぐと、スタッとほむらが高所より降りて着地してきた。
見つめるさやかに対し、
ほむら「-時間を止めていくつか手榴弾を投げ込んだのよ。これでやれたと思わないけど…」
続いてにゅうっと盾から小型のバズーカ砲を取り出し、片膝をつきながら肩に乗せ、魔女に向けて狙いをつけ構えた。
魔女『オホホホホホ!』
爆破の煙の中で、先ほどまでよりヒステリックに笑う魔女に向けてほむらはバズーカ砲を発射する。
シュバッ ドガーン
杏子「!」
それを見た杏子が咄嗟に手に持った槍を、体を捻じって魔女に向けて投擲する。
一斉攻撃の意図を悟ったさやかも剣を投げつけると、周囲に剣のサークルを張り巡らし、次々投げつける。

223: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:50:50.32 ID:T6f9KzZ2P
ザスッドスッドゴゴゴゴーンドスッガスッ
いくつもの砲弾と槍と剣が魔女の体に打ち込まれた。
ハァハァと息をつく3人。魔力をかなり使い、ソウルジェムは皆少し光が弱くなっている。
立ち上る爆煙が薄れ、魔女の姿が徐々に再び現れ始めると-
魔女『オホホホホホ!』
魔女は甲高い笑い声を上げた。
端正な白い肌の顔や体のあちらこちらにもぎ取られたような跡や、突き立てられたままの槍や剣があるが、
腰かけたままの上半身に見える動きは多少鈍くはなっているものの、まだ充分な余力を感じさせた。

224: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:51:46.19 ID:T6f9KzZ2P
ほむら「そんな・・・」
見上げるほむらが顔に絶望の色をうっすらと浮かび上がらせた。
さやかもハァハァ息をつきながら
さやか「これでも倒せないなんて…」
杏子「さすがマミだぜ…こんな魔女初めてだ」
杏子が睨みつけながら言う。
まどかの顔には不安と恐怖が漂っていた。

魔女は再び頬杖を突き、にいっと、顎と口元にところどころ傷つけられた形の良い唇を吊り上げると、再び上空に無数のマスケット銃が現れ始めた。
先ほどと同じように銃口を上方に向けた状態から筒の角度を徐々に傾き下ろしてくる。
杏子「-チッ」
再び目の前に結界を張る杏子。4人は退避の姿勢を取る

225: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:52:33.90 ID:T6f9KzZ2P
ダダダダダダダダダダダダダダダダダーン
無数の銃弾が飛来したが、4人は避け、杏子は今回も防ぎ切った。
と、杏子の足元からシュルシュルとリボンが伸びてき、魔女と銃弾に注意を向け、斜め上を見上げていた彼女の足首にがっしり絡みついた。
杏子「-しまっ-・・・!」
槍で咄嗟に薙ぎ払おうとするが、周囲からも伸びてきたリボンが絡みつき、杏子の体をあちこちから拘束する。
さやか「杏子!」
必死の顔でダッと走りだすさやか。ゴルゴとほむらも続くが、上空に現れた光景を見て、ピタと足を止めた。

226: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:55:07.18 ID:T6f9KzZ2P
黄色に赤い血流しの巨大なリボンがシュルシュルと現れ、巨大な筒形を形作ってゆく。その照準は杏子の方を向いているようだ。
「-!」
その正体を悟って青ざめる4人。見上げた杏子は全身をリボンに締め上げられたまま、絶望の色を浮かべた。そんな彼女に対し、その間にも徐々に筒が形作られていく
ほむら「(-だめだ。時間停止でもあのリボン全てを切り払って杏子を助けることができない・・・!)」
焦りと絶望の色を湛えながら、杏子の方を見て、足がすくんだほむらだが、
ゴルゴ「・・・-!」
ダッとゴルゴが杏子に向けて走り出した。

227: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:56:20.05 ID:T6f9KzZ2P
さやか「東郷さん!?」
声を上げるさやか。
縛られたままの杏子は驚愕の表情で、走り寄るゴルゴの方を見て、
杏子「-駄目だ!おっさん!来んな!」

ゴルゴは両手に持ったライフルとサバイバルナイフを投げ捨て、ガッと背にかけたM-16に手をかけ、両手で構えたまま一散に杏子に走り寄る。
杏子「-来んなー!おっさん来るんじゃねぇー!」
頭だけを残して、全身を繭のようにリボンにがんじがらめに拘束されながら、じたばたともがいて声を張り上げる杏子。
ほむらとさやかとまどかは絶望の表情でその様を眺めるだけだった。

シュルシュルと空中のリボンの筒形が完成していき、ところどころ赤い血流しのある、魔法少女時代のマミが使っていた必殺技のマスケット砲の姿に変化した。
魔女が今までより大きくにぃっと口角を吊り上げ、得意げな笑顔を形作ると、
一瞬、その場にいる全員の脳裏に直接入り込んでくるかのように、魔女化したマミの上下にエコーがかかった声が響いた。
魔女『(ティロ・モルテ!)』

ズギューン

228: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:57:35.47 ID:T6f9KzZ2P
カッ
視界を黄色と赤の入り混じった強烈な閃光がくらますと、一瞬置いて、
ドゴゴゴゴゴゴォォォォォォーン
上方より凄まじい爆音と爆風が皆を襲った。
「-!」
咄嗟に手と腕で頭を多いかばう一同。
さやか「-え-、-何-、-何なの-?-」
さやかが爆風に耐えながら声を上げる。
杏子を縛り付けていたリボンは爆風がおさまるにつれてド口りと溶け出し、溶けて寸断されてはらりと落ちながら、徐々に全体が溶けて原型をとどめず消え去った。
空中で拘束を解かれた状態からすとんと力なく地面に着地にした杏子は、軽く口を開けたままぼんやりとした視線を上に向けていた。
徐々に目をくらませた閃光の残滓が網膜から消え、もうもうと立ち上る爆煙が散り消えつつある中、ほむらが目にしたのは呆然と立ち尽くす杏子の前に片膝をついてしゃがみ込み、
先ほどまで魔女がいた辺りに照準を付けて銃を構えているゴルゴの姿だった。
ほむらの脳裏にここに来る直前ゴルゴと交わしたやり取りが甦った。
ほむら「-!(・・・-もしかして・・・!-)」

229: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:58:59.54 ID:T6f9KzZ2P
魔女の姿は跡形もなく、シュウッと徐々に極彩色の黄色の結界が消え落ちてゆき、
やがて辺りはまた元の住宅街のへりの荒れ果てた洋館の敷地内の静かな夜のしじまに戻り、
急激に辺りを取り囲んだ闇が、今まで光に囲まれて眩んでいた一行の目を優しく癒した。
敷地内の草むらのあちこちで虫が鳴いている。

230: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 00:59:53.40 ID:T6f9KzZ2P
ぽかんと立ち尽くしていた杏子だが、早くも立ち上がり、銃を収納しようとスーツケースを探し回っているゴルゴの方を向き、
杏子「-あ、あんた-。-一体何やったんだよ」
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴは答えず、見つけたスーツケースの方に足を向ける。
ほむら「-誘爆させたのね」
ほむらがゴルゴの前に足を踏み出し、話しかける。
ほむら「-ここに来る前、銃弾に特に魔力を込めさせたのは、-マミが魔女化してからもあの必殺技を使ってくると読んでいたからなのね。そこを狙い撃ったんだわ」
杏子はぽかんとして聞いていたが、やがて納得したようにハッとすると、
杏子「-そうなのか-、-おっさん、ありがとうよ、助かったぜ-」
M-16ライフルを分解して持参してきていたスーツケースに収納し始めていたゴルゴはじろりと杏子の方を一瞬見やると、
ゴルゴ「・・・戦術的にこれが最善だと判断したまでだ・・・。礼を言われることではない・・・」
再び手際よくスーツケースに収める作業に戻った。
杏子「-もう、おっさん!ツンデレってやつか!?とにかくありがとうよ!」
八重歯をのぞかせながらにこやかな笑顔でバンと横からゴルゴの大きな背中を叩いた。

231: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:01:02.33 ID:T6f9KzZ2P
杏子「-そ、それと-」
杏子が頬をポリポリ掻きながら、顔を赤くし、照れくさそうに顔を背けて小さな声で言う。
杏子「-おっさん、-その-、-色々ひどいこと言ってごめんな-。-今ならマミがあんたに惚れた理由がわかるよ。
 -あんたは決してマミの心を弄んでたわけじゃないんだな」
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴは黙って銃の収納を終えると、ガチャリとスーツケースを閉じ、今は中身を失ったスーツケースともども持ち上げ、立ち上がった。
その間さやかとまどかは地面に散らばった数個のグリーフシードを眺め、しゃがんでそのうちを拾ったさやかはギュッとそれを握りしめ、
さやか「-マミさん-」
まどかも立ったままじっとグリーフシードを見ながら、胸にやった両手をぎゅっと握りしめた。

232: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:01:56.66 ID:T6f9KzZ2P
そのまま立ち去ろうとするゴルゴ。
杏子がそんなゴルゴの背に向け、
杏子「-あ、おい-、-おっさん!もう行っちゃうのかよ!よかったらラーメンでも-。あたしが奢るぜ!-」
黙って立ち去るゴルゴ。その背を眺めるほむらの目からは冷たさが薄れ、いつの間にかキラキラとした希望の光が輝いていた。
ほむら「(何ていう人・・・!このメンバーならワルプルギスの夜を倒せるかもしれない・・・!)」

鉄の門扉を開け、一人敷地から出たゴルゴ。両手にスーツケースを提げながら一人思考を巡らせていた。
ゴルゴ「(…紅茶の魔女・・・。・・・もしや・・・!)」

233: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:02:52.34 ID:T6f9KzZ2P
深夜2時
見滝原ビジネスホテルのベッドに下着一枚で座り込んだゴルゴが携帯を耳に当て、着信を告げる音が鳴っているのに耳を傾けている。
父「-も、-もしもし?-」
深夜の電話に戸惑い、眠気を感じさせる声で受話器を取った相手の声が応えた。
ゴルゴ「俺だ…、東郷だ…」
ハッとする気配がし、相手の眠気は吹っ飛んだようだった。
父「おおっ、東郷!ど、どうだっ!?奴は-キュウべえとかいうやつを殺せたのか!?」
ゴルゴ「・・・いや…まだだ・・・。知りたいことがあって電話した・・・」
父「-し、知りたいこと?-それは何だ!?」
ゴルゴ「もしあればお前の娘の部屋-実家のでも寮のでもいい-できれば両方-の写真を見たい…今から言うメールアドレスに画像を送ってくれ…」
父「-!?-わ、わかった-。たしか寮から返ってきた娘のデジタルカメラに友人と取った寮の部屋での写真があるはずだ。こちらもそのまま残してある。
 -正直もう一度見るのはつらいのだが-。少し手間取るとは思うがちょっと待ってくれ!-」
ゴルゴ「・・・頼む・・・」
メールアドレスを口頭で伝えたゴルゴは携帯の通話をピッと切った。

234: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:04:06.30 ID:T6f9KzZ2P
30分後、ホテルの備え付けのデスクの上に開けたまま、メール欄をウィンドウに表示しているノートパソコンに着信があった。
着信したメールを開き、添付された画像ファイルをチェックするゴルゴ。送られた二つの画像にはそれぞれ実家のものと寮のものという添え書きのメール文が付いてあり、
実家の方はきれいに整頓されたがらんとした部屋、寮の方は依頼者の娘が友人と並んで撮ったらしい、こちらに向けて笑顔で三人そろって手でピースサインをかかげている写真だ。
いずれの部屋も、飾られたカーテンや小物は赤とピンクを基調としており、ゴルゴが初めてマミを助けた魔女シャルロットの結界に酷似していた。
ゴルゴ「・・・」
じっと見ていたゴルゴだ が、やがて携帯を取り、通話をかけ始めた。
父「-も、もしもしっ!-東郷か!?上手くいっただろうか?」
ゴルゴ「・・・残念ながら・・・、お前の娘はもうこの世にはいないようだ・・・」
一瞬の沈黙の後、明らかに落胆を感じさせる声が受話器を通してきた。
父「-・・・。-・・・そ、そうか・・・-。-覚悟してはいたが・・・。で、それはやはりキュウべえとかいうやつの仕業なのだな!?」
ゴルゴ「・・・。・・・そうなるな・・・」
父「そ、それなら頼むっ!何としてもそのキュウべえというやつを始末してくれっ!」
ゴルゴ「…最善を尽くそう・・・」
ピッと通話を切ったゴルゴ。
シュボッと葉巻を付け、夜景を見下ろせる窓の前に立ち、じっと物思いにふけった。

235: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:05:25.75 ID:T6f9KzZ2P
杏子「おや、こんなところにいるとは」
太陽が赤くなり、陽光が水平に近く走りながらもまだ十分な明るさを残している、日の長い夏の夕始め。
ゴルゴが遊歩道のベンチに脚を組んで寄りかかり、ゆったりカポラル葉巻を吸っていると、横から来た杏子に声を掛けられた。
杏子「ちょっといいかい?」
ゴルゴ「・・・」
黙って葉巻をふかし続けるゴルゴの横顔に拒絶を読み取らなかった杏子が隣に来て座り込む。
杏子「あんたにこんなこというのも関係ないかもしれないけどさ…。話を聞いてほしくって…」
ゴルゴ「・・・」

236: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:06:38.66 ID:T6f9KzZ2P
杏子「あたしの親父は教会の神父だった。-小さな不幸や悪も見逃せない人で、ある時から教義に関係ない事まで延々と信者に説教しだしたよ-。
 -そしたら信者の足並みは途絶えちゃってさ-。-あたしは皆が親父の話に耳を傾けてくれるようにという願いで魔法少女になる契約をしたんだ-。
 -そしたら願い通り教会はわいのわいのの盛況になった-。-あたしはあたしで魔女退治に精を出してさ-。-はりきってたよ-」
ゴルゴ「・・・」
杏子「-でも、ある時魔法少女のことがばれちゃってさ-。
 -皆が急に話を聞いてくれたのも私の願い事からだって知ると-、-親父はあたしのことを人心を惑わす魔女だって罵って-、
 -酒に溺れて頭がイカれて-、-最後は家族を道連れに無理心中さ-」
ゴルゴ「・・・
 -・・・モーゼと黄金の牡牛の逸話か・・・」

237: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:08:13.00 ID:T6f9KzZ2P
杏子「何だって?」
ぽかんとした顔でゴルゴを見やる杏子。
ゴルゴ「-・・・旧約聖書、出エジプト記中の故事だ・・・。
 エジプトから脱出したユダヤ人たちはシナイ山に登ったまま戻ってこない指導者のモーゼに不安と不平を抱き、山麓で暴動、離散が起こりそうになった…。
 そこで一人の男が黄金の牡牛を持ち出し、これを崇めるようにと言うと、皆の不満は解消され、黄金の牡牛の前に人身は安定を取り戻した-・・・。
 だが、シナイ山頂から十戒を得て帰ってきたモーゼは偶像崇拝を禁ずる教えに反するとして怒り、その男は追放された・・・。
 -お前の願い事も結果はどうあれ、皆の気持ちをまとめようと事には違いなかったのだろう…」

238: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:09:08.67 ID:T6f9KzZ2P
口を開けて聞いていた杏子は、少し元気を取り戻したように八重歯をのぞかせた笑顔を見せ、
杏子「-そ、そうだよな-。あたしのしたことも別に悪かったわけじゃないんだよな-」
ゴルゴ「・・・何が善で何が悪かなどは俺にはどうでもいいことだ・・・」
深く葉巻の煙を吐くゴルゴ。
杏子は満面の笑みを見せ、
杏子「もう、おっさんやっぱりツンデレなんだな!」
パーカーのポケットからリンゴを取り出し、ゴシゴシと裾でその表面をこすると、ゴルゴに差し出した。
杏子「食うかい?」
ゴルゴ「・・・
 ・・・まず・・・お前が食べて見せろ・・・」
差し出したリンゴをじっと見ていたゴルゴだが、リンゴの一点を指さして言った。
杏子「-もう、疑り深いんだな!」
笑顔のままシャクッと示された個所を丸齧りし、再びゴルゴに差し出すと、
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴは受け取って齧り始めた。

239: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:10:30.23 ID:T6f9KzZ2P
夜8時
見滝原の薄暗いバー内部のカウンターで和子が同年代の友人詢子と隣に座り合って、共に酒を飲んでいる。
詢子は顔立ちが細く、鼻筋が通って目も細くやや吊り上がっており、スレンダーな体型にピシッと着こなしたスーツがよく似合っている。
和子が飲んでいるのは青いカクテルで、詢子はウイスキーのロックだ。
和子「-三年生の子が一人行方不明になって、職員室は大変だよ。こっちは大丈夫そうだけど、うちの仁美ちゃんも学校休みがちでね。いい子だったんだけど-」
詢子「-うちのまどかにその話をしたらすごいビクッとしちまってさ、
 少し前まで三年生の先輩の知り合いが出来たとかいう話をしてるし、たぶん何か知ってるんじゃないかと思うんだが、何も話してくれないんだ。
 初めてだよ、娘の気持ちがわからないなんてさ。仁美ちゃんについても何か知ってるかもしれないし-」

240: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:11:36.47 ID:T6f9KzZ2P
二人が黙りこくっていると、ドアが開くチリンチリンという音がし、客の来訪を告げた。
二人が入口に目をやると、スーツ姿の肩幅の広い大男が鋭い目でバーを見渡しながら入ってくるところだった。
和子はそれを見ると、一瞬驚きの表情を見せた後、ぱっと顔を輝かせて、体を伸ばし、肩と手を大きく差し上げてひらひらと手を振って招き寄せる動作をした。
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴは和子を認めると、黙ってカウンターに向かい、彼女とその同伴客に鋭い目で注意を配りながら隣に腰を下ろした。
和子は年に似合わぬ無邪気な笑みを見せると、
和子「-やっほー、デューク。-どうしたの?ここんとこ全然来てくれないじゃない。-飲む?」
カクテルを軽くちょこんと捧げ上げて訊いた。
ゴルゴ「・・・いや・・・これから車で出かけなければいけないんでな・・・、酒はやめておこう・・・」
ゴルゴはバーテンダーに烏龍茶を注文した。

241: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:12:58.99 ID:T6f9KzZ2P
きょとんとした和子だが、ゴルゴが隣の席の詢子の方に視線を送っているのを見ると、
和子「あ、そうそう-和子はスツールを回転させて少し前に向き直ると、隣に座る詢子の方を手で示した-、こちらあたしの親友の鹿目詢子。
 あたしが受け持ってるクラスの女の子の親御さんでもあるのよ」
詢子「初めまして」
カウンターに両肘を突いたままぺこりと頭を下げる詢子。
ゴルゴ「・・・」
黙って鋭い視線をよこすゴルゴとしばらく目を合わせていた詢子だが、和子の方を向くと、
詢子「この人があんたの言ってた新しい彼氏?」
促すように尋ねた。
和子の顔が満面の笑みでだらしなくにへらと崩れ、
和子「そうそう、かっこいいでしょ~。
 こんだけ逞しいのに-和子はゴルゴの上腕をスーツの上から小さな左手の指先で掴むと、もみしだくようにした-、優しいし、料理も何でもできるのよ。
 それに何よりあたしの料理にケチつけたりしないし」
両頬に手のひらを当てると、首を軽く傾げ、とろけるような笑みを浮かべた。

242: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:14:24.48 ID:T6f9KzZ2P
それから仕事の話や今まで付き合った男の愚痴などを和子があれこれ言い、二人は黙って聞いていたが、やがて和子が
和子「ちょっとお化粧直しに行ってくるわね」
席を立つと、しばらく残った二人の間に沈黙が流れた。
詢子がまじまじと葉巻を吸っているゴルゴを眺めると、
詢子「ふ~ん。和子に似合わないタイプの男だね。何て言うか危険なタイプ?
 あたし自身は嫌いじゃないけど、うちの家族には近づけたくないタイプだね。特に娘には」
ゴルゴ「・・・」
鋭い目でじっと見据えるゴルゴ。しばらく見つめ合っていた二人だが、やがてゴルゴがくいと残ったウーロン茶を飲み干し、葉巻を灰皿に押し付け、火を消すと、
ゴルゴ「・・・俺は、そろそろ行かねばならない・・・」
言いながらスツールを回転させ、立ち上がった。
出口に向かおうとするゴルゴに
詢子「和子を放っておいていいの?」
振り返って黙って見つめるゴルゴ。
詢子「なんかあんたこのままどこか遠くに行ってしまいそうでさ、和子が今まで別れた男と同じようになるのが心配なんだよ。
 できたらまた戻ってきてあの子を安心させてね?」
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴは言葉を発しないまま身を翻し、来た時と同じベルの音を鳴らしながらドアを開け、バーを出て行った。

風が強く吹き付け始めていた。

243: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:15:19.93 ID:T6f9KzZ2P
夜10時
バーを出たゴルゴは車を駆り、見滝原の市街地から遠く人気のない地域に向かっていた。隣の助手席にはほむらが座っている。
「・・・」
ガーッと疾走する車内を無言で過ごす二人。と、カーラジオからニュースが聞こえてきた。
『臨時のニュースです。関東地方太平洋岸に突如現れた小型の台風は現在○○地方の方向に向かっており・・・』
ほむら「-これがワルプルギスの夜よ」
ふとつぶやくほむら。ゴルゴはしばらく黙って運転していたが、
ゴルゴ「・・・
 -・・・勝ち目は、あるのか・・・?」
ほむら「正直わからない。難しいかもしれないわね。これだけのメンバーが揃ったのは-あなたも含めて-初めてだけど、奴の強さは半端じゃないわ。
 でもこのまま見滝原市を荒らされて、まどかを危険にさらさせるわけにはいかない」
ゴルゴ「・・・」
二人は車内で黙りこくったまま、強い風が吹く中、車は見滝原市をますます遠ざかって行った。

244: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 01:16:32.39 ID:T6f9KzZ2P
建物も街燈もなく、やがて舗装が終わった狭い道を左右にうっそうとした木立をところどころ見ながら、夜の闇をヘッドライトで切り裂いて進むと、開けた広い草原に出た。
そこにジェット式の中型輸送機が周囲をライトで照らしたまま泊まっていた。
貨物口の傍には大量のコンテナが積み上げられており、操縦席への搭乗口の傍に一人の黒人の男が立っている。

246: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:27:47.02 ID:T6f9KzZ2P
ジム「おっ、きやしたね旦那。へへ、いつも時間ぴったしだ」
車をそばに乗り付け、ゴルゴが車から降りると片手で帽子を取って、腰を屈めながらて会釈しながら明るい顔を見せるジム。
ジム「しかしこんだけの武器をそろえてこの日本で戦争でもおっ始めようってんですかい?-」
ふと、ゴルゴに続いて助手席から降りてきたほむらに目が止まる。
ジム「-こりゃあ-・・・」
絶句した。しばらく言葉が出ないようだ。
ジム「旦那がこんな小さな女の子を連れてくるなんてどういうわけですかい?ひょっとして-」
じろじろと無表情なほむらの顔を眺めるジム。
ジム「旦那の娘さんですかい?どことなく目が似ているような-。へへ、可愛らしいお嬢さんだ」
ギロッとゴルゴが睨んだ。
ゴルゴ「・・・」
ジム「・・・
 ・・・!」
ゴルゴの鋭く睨みつけた眼に合わせられて怯えた表情を見せるジム。目と口は大きく見開かれ、最後の方は汗が大量に流れ出た体全体がカタカタと震えていた。
ジム「
 わ、わかりましたよもう!詮索しませんって!」
目を強く閉じ首を左右にぶんぶん振ることでゴルゴの視線から逃れた。

247: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:29:06.45 ID:T6f9KzZ2P
黙って積み上げられたコンテナの方に向かうゴルゴとほむら。ジムが腰をかがめて怯えながらついて行く。
ゴルゴは吸っている葉巻を指でくわえながらコンテナを観察したまま、ほむらの方に声を掛けた。
ゴルゴ「どうだ・・・、入りそうか・・・?」
ほむら「ええ、余裕よ」
ほむらはごそごそとコンテナの上に掛けられたシートの下から一つの火器を取り出すと、
ほむら「-最新のスティンガーミサイル・・・。私ではこんなものは調達できなかったわ」
あれこれ持ち構えている。

248: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:29:56.19 ID:T6f9KzZ2P
その間にゴルゴはジムの方に行き、
ゴルゴ「ご苦労だったな・・・。金は口座に振り込んである・・・チェックしてくれ・・・」
驚くジム。
ジム「-えっ!?旦那!旦那のことだから、そりゃあ金の心配はしてませんけどさ、どうやってこの武器を運ぶんですか!?
 -ちらとゴルゴの後ろにヘッドライトを点けたまま停まっている乗用車を見た-見たところ車はあの一台だけのようだし-。
 あとから大型トレーラーでも来るんですかい!?」
口から唾を飛ばして話しかけるジムに
ゴルゴ「お前の心配することではない・・・。あれを積み込んで-葉巻をつまんだ指で輸送機の貨物口のそばに置いてあるフォークリフトの方を示した-さっさと行け」
ジムはまだ腑に落ちぬ表情ながらも、ゴルゴに気圧されて、びくびくしたままチラチラと兵器を物色しているほむらの方を見やると、
フォークリフトを荷口に乗り入れ-操縦席に乗り込むとジェット機を操作して飛び立って行った。

249: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:30:48.92 ID:T6f9KzZ2P
黙々と、強風で人々が避難して人気のなくなった街中のあちこちに武器を敷設、設置、用意するゴルゴとほむら。
ゴルゴは軍事用のサバイバル服で、ほむらは魔法少女姿の盾からにゅうっと大型火器を取り出しては、ドンと置いていく。
ゴルゴ「このタイプは…魔女に通用するのか・・・?」
ゴルゴが、ほむらが数多く設置した対空ミサイルのうちの一つに手をかけて言った。先にセンサーが付いた熱源追尾型のミサイルだ。
ほむら「私の魔力で魔女の魔力にも感応するようにしてあるわ。それに他の攻撃が当たればその爆発で発生した熱を追ってもくれるでしょう」
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴはほむらの説明を受けると再び黙って作業に戻った。
しばらくすると今度はほむらが屈みこんで作業をしているゴルゴに質問を浴びせた。
ほむら「そのあちこちに設置しているプラスチック爆弾やリモコン式の地雷は何?こう言っては何だけど奴にそれほど通用しないと思うのだけれど」
ゴルゴはしばらく返事を返さずに黙々と作業を続けた後、やっと背を向けたまま、
ゴルゴ「・・・これも作戦の一環だ・・・」
とだけ言葉を返した。

250: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:31:36.89 ID:T6f9KzZ2P
作業が一段落した二人。ほむらは服の袖で額の汗を拭っている。
じっとあちこちに兵器が敷設された街中を見渡したゴルゴ。その大部分はほむらが事前にどこからか調達してきて魔法の盾から取り出したミサイルなどの大型兵器だ。
ゴルゴ「・・・凄いな・・・。俺もここまでとは思わなかった・・・」
ほむら「いえ、あなたの用意してくれた武器も役立ちそうよ」
強い風が吹き付ける上空を見上げ、ちらと開いた携帯電話の時計に目をやって、
ほむら「あと数時間で奴が来るわ」

251: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:32:21.97 ID:T6f9KzZ2P
ずらりと地面に敷設された重火器の数々を見てさやかと杏子が唖然とした顔を見せた。
杏子「まじかよ・・・、どうやってこんだけ集めてきたんだ・・・?」
さやかの方は完全に出てくる言葉が見つからないようだ。口をパクパクさせている。
まどかは怯えた表情でびくびくと巨大な火器を眺め、時々ちらっとほむらの方を見やる。
ほむら「この2か月近くずっと集め続けていたのよ-、ただ、これでも勝てるかはわからないわ」
さやか、杏子、まどかが顔を俯けて黙り込む。その場を沈鬱な空気が支配した。
まどか「そんなに強いの・・・?」
まどかが顔を暗めたままおずおずと口を開いた。
ほむら「ええ、でも-」
まどかの方をキッと見て、
ほむら「-間違っても自分が魔法少女になろうなんて考えは起こさないで。マミのことを思い出すのね」
強い口調で言うと、一同がハッとする。申し訳なさそうな顔をしてうなずくまどか
まどか「-う、うん。-ごめん」

252: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:33:09.04 ID:T6f9KzZ2P
さやかが右手に握り拳を作り、気を取り直したように強い目で顔を上に向けると、
さやか「-でも、マミさんもこの街を守ろうとしたんだもんね。あたしたちも頑張らなくちゃ」
杏子がそれに合わせるようににやっと八重歯をのぞかせて笑い
杏子「-そうだな、やるだけやってみなきゃな」

253: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:34:15.12 ID:T6f9KzZ2P
葉巻を指で挟んだゴルゴが口を開いた。
ゴルゴ「・・・作戦は・・・あるのか・・・?」
ほむら「奴は空を飛んでくるわ。さやかと杏子はそれぞれビルの屋上で相手を迎え撃って。機動力が高いからできるだけ飛び移れる場所がいいわね。
 私と東郷は地上で兵器を使って奴を攻撃するわ。ただ-」
一瞬口をつぐんだ。
一同をきっと見まわすと、
ほむら「ワンマンプレイになるかもしれないけど、私が主導で攻撃するわ。奴は私の因縁の敵なの」
ちらとゴルゴの方に向き、
ほむら「あなたが気を悪くしなければいいのだけれど・・・」
ゴルゴ「・・・俺は結構だ・・・」
葉巻を吸いながら答えるゴルゴ。一瞬二人の目が合った。
ほむらはまどかの方を向くと
ほむら「まどか、あなたは遠くに離れてなさい」
まどか「うん」
まどかはこくりと頷いた。
ほむら「あと当然のことながら奴は使い魔も引き連れているわ。奴らはあちこちに現れる。空ばかりでなく周囲にも注意して」
強風がその勢いを増してきた。

254: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:35:39.03 ID:T6f9KzZ2P
風が一層強まる中、一同が待ち構えていると、
魔女『あははははは』
巨大な笑い声が上空から風に乗って送られてきた。
見ると、青に白の縁飾りの、古くに鯨の髭によって大きく盛り広げられたスカートを持つ貴婦人の服装をした魔女が空高くより飛来してきた。
盛り広げられたスカートに比して胴と腕は細く、何より異様なのは上下逆さまになって飛行していることだ。
真下に向けた頭のてっぺんからは中に何か詰まっているのか、角のようにまっすぐにゅっと二本の突起状の形をしたナイトキャップを被っているように見え、
脚の代わりに大きなスカートから覗かせているのは体の中心に軸が通っていることを示唆する、数枚上下に重ねられた大小の歯車だ。
目と鼻は無く、笑い声を上げるたびに白い歯を見せて大きく開け広げられる分厚い赤い唇が下卑た印象を与える。

255: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:36:49.92 ID:T6f9KzZ2P
ほむら「-来たわ。ワルプルギスの夜よ」
伏せて待機していたほむらは傍らにいるゴルゴに声を掛けると、返事を待たずにさっと立ち上がりさっさと動き回り、次々と地面に敷設された地対空ミサイルを発射し始めた。
シュボッシュボッ
ゴルゴも合わせて発射の動作を手伝うと、ほむらは忽然と姿を消していた。見ると、遠く離れたところからシュボッシュボッとミサイルが宙に打ち上げられている。
時間を止めて移動したらしい。相手に体勢を整える暇を与えないようだ。

256: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:37:37.21 ID:T6f9KzZ2P
ドガガガーン
早くもミサイルのうちの一つが着弾した。弾頭のセンサーを魔力追尾型に変えられたミサイルは次々と魔女に向かってゆき、轟音と共に爆発していく。
魔女『あははははは』

ゴルゴ「・・・
 -!」
ゴルゴが爆煙と光に囲まれている魔女を空に観察していると、ヒュンっと周囲に突然複数の使い魔たちが現れた。
皆、赤やピンクなどのシルエットだけの姿で、目立つフリルやリボン、大きく膨らまされた袖口など魔法少女の姿をしている。
ガーンガガウーン
咄嗟に腰から銃を抜き撃ち、すれすれまで近づいた使い魔たちの動きを止めると、ざっと飛び退って距離を取り、背のM-16のライフルを構えて掃射して倒していく。

257: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:38:41.46 ID:T6f9KzZ2P
ドゴゴーンガゴゴゴーンドーンボンッ-・・・
魔女『あはははははは』
杏子「(-あいつほんとに一人でやっちまうつもりかよ!?)」
周囲に現れる魔法少女のシルエットの使い魔たちを槍で倒しながら、
地上であちこちと時間を止めて移動し回り、次々ミサイルを魔女に命中させていくほむらを、待機していたビルの屋上から見下ろして、
杏子は魔法少女のテレパシーで向かいにいるさやかに話しかけた。
さやか「(-そうかもしれない-。でも、あたし達もできるだけのことをやらなきゃ。-だって、マミさんの代わりにこの街を守らなきゃいけないんだよ?)」
しばらく使い魔たちを倒していた杏子だが、ふっと優しく笑うと、
杏子「(-そうだな。マミの分も頑張らなきゃな)」
あらかた周囲の使い魔を倒すと、また普段の不敵な笑みに戻り、
杏子「あらよっと!」
魔女『あははははは』
いくつもの爆撃を受けながらやや飛行高度が下降している魔女に向けて力いっぱい槍を投げつけた。
さやか「やぁっ!」
さやかも負けじと宙高くサーベルを投げつける。
ズサッドスッドゴォーンガガァーン
魔女『あはははははは』

258: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:39:45.30 ID:T6f9KzZ2P
魔女『あはははははは
 あーははははは』
周囲の使い魔を倒したゴルゴは、上空でほむら、さやか、杏子の一斉攻撃を受け、爆煙と炎に包まれる魔女の様子を双眼鏡でじっと観察していた。
時々魔女の声のトーンが上がり、甲高い悲鳴のような調子を帯びる。
じっと鋭い目で観察し続けていたゴルゴ。
ゴルゴ「(・・・やはり・・・頭が弱点のようだな・・・)」
ガウーンズキューンドーン
再びヒュンヒュンと周囲に愛らしい姿勢で現れ出た使い魔たちをライフルで撃ち倒すと、地面のスティンガーミサイルを手に取り、片膝を付けて狙いを定めた。
シュボッ
ドーン
魔女『あははははは』
魔女の頭に命中すると微 妙に声のトーンが変わった。
ヒュンッヒュンッ
周囲に再び現れ出る使い魔たち。
ズキューンガウーンダダダダダダダッ
ゴルゴはミサイル弾を装着しなおし、再びしゃがみこんで発射の姿勢を取った。
シュボッ
ドドーン

259: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:41:21.31 ID:T6f9KzZ2P
魔女『あぎゃはははははは』
数十秒の間隔を置いて次々魔女の頭部に命中する小型ミサイル弾。
それが続くと魔女の声が明らかに悲鳴の様相を帯びてきた。その間にもほむらの発射する小~中型ミサイルは次々と魔女にヒットして爆煙と炎を巻き起こしている。
次々現れ出る使い魔たちをなぎ倒しながら、首をよじってその様を見ていた杏子。
杏子「-そういうことかい」
にやっと八重歯を見せて笑った。
使い魔たちを一層激しい動きでさっさと倒すようにすると、槍の柄を掴んだ右手にぐっと力を入れ始めた。
キュゥゥゥゥゥゥン
手から発した光が槍全体に伝わる。やがて槍はそれだけで光を帯び始めた。
杏子「はぁっ!」
大きく体をひねり、腕を伸ばして思い切り槍を投げつけた。
間髪入れず、光る槍の行き先を眺めながら、右手足を前に構え、右足に重心をかけ、その上で人差し指、中指を立てた状態で右手を握り込み、印を形作る杏子。
左手に再び出した槍をぶんぶんあちこちに振り回すことで再び現れ出てくる使い魔たちを追い払う。
キュゥゥゥゥゥゥン
杏子の右手は依然光を帯び、杏子が体を乗り出してじっと槍の行き先を眺めていると、ククッと微妙に槍の方向が変わり、魔女の頭に突き刺さった。
魔女『あぎゃはああああああ』
明らかに悲鳴に変化した。

260: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:42:10.18 ID:T6f9KzZ2P
魔法少女の視力と感応力で杏子の仕草を察知したさやか。
周囲の使い魔たちを切り倒すと、きっと眉を吊り上げ、真剣な顔でギュッと右手に持った剣を握りしめた
キュゥゥゥゥゥゥン
さやか「やあっ!」
びゅんと投げつけるさやか。同じく真似をして右手で印を形作ると、身を乗り出して行き先に集中する主人の下、投げつけた剣はザクッと魔女の頭に命中した。
折しもほむらの発射したミサイルも頭に直撃する。
魔女『あぎゃああああああああああ!』

上空を見上げていたほむらは魔女の変化をはっと上空に認めて、
ほむら「(手ごたえあり…!)」

261: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:44:18.72 ID:T6f9KzZ2P
ドーンザクッドスッドゴーン
頭にいくつもの攻撃の直撃を受けた魔女は悲鳴を上げた後、はたと黙り込み、一瞬動きを止めた後、カタカタカタと腰を中心に体全体を左右に振り子のような動きで揺れ震わせた。
あちこちの使い魔たちも凍り付いたように動きを止めている。

固唾を飲んで上空を見上げる4人。

262: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:44:50.17 ID:T6f9KzZ2P
と、カタカタカタと左右に揺れ動いた状態から、
グルン
と、まるで反発極同士向かい合わされていた磁石が元あるべき形に回転して戻されたかのように急激に腰を軸に半回転して-

-魔女は頭を上方に向けていた。

263: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:45:36.47 ID:T6f9KzZ2P
「-!」
カッと上空から強烈な衝撃波が襲う。4人は後ろに数メート浮き飛ばされた

魔女『あーははははははははは』
ビュウビュウと魔女の周囲を渦が巻くように強烈な風が吹き荒れる。
さやか「-ちょ、-これ-」
杏子「-なんだこりゃあ!?ー」
ビルの屋上にいて風の直撃を受けるさやかと杏子は耐え切れず身を伏せる。
杏子は周囲に結界を張り、風の影響を和らげ、身を伏せたさやかはバタバタと風の煽りを受けて吹き膨れ、さやかの体を一緒に後ろに吹き飛ばそうとするマントの留金を外した。
ゴゥと白マントはたちまち大きな渦の流れに巻き込まれてあっという間に上空高く見えなくなっていった。

264: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:47:42.69 ID:T6f9KzZ2P
ゴゥゥゥゥゥゴゥゥゥゥゥゥ
魔女『あははははははは』
カッと飛ばされる衝撃波をより深く身を屈めて避けるゴルゴ。
使い魔たちは豪風に巻き込まれてもろともどこかに吹き飛ばされていってしまった。
ほむら「-ゴルゴ・・・!-」
身を這いずらせながらほむらがゴルゴの傍に寄ってきていた。
眼は風で飛ばされる砂石を受けないように細く狭められ、耳をつんざく豪風の中伏せた姿勢のまま精一杯の声を張り出す。
ほむら「-どうやらこれが奴の本気のようだわ-」
ずるずると敷設したミサイル群の下に行くほむら。
細長い本体を上に向けて立てられていたミサイル群はカタカタと細かく震え、やや離れた場所に設置してあるミサイルのうちの一つがガタンと音を立てて倒れ、
それに巻き込まれて他のミサイルもガチャガチャと倒れる音が聞こえた。
普段なら耳を驚かせる音なのだろうが、豪風に巻き込まれてどこか遠い場所でのことのように聞こえる。
脚の前面を地面に着けたままよろよろと身を起こし、シュボッとミサイルを発射させるほむら。
ミサイルは強風の中ふらふらと飛び始めたが、やがて目標を見失って魔女から遠く離れてどこかに飛んで行ってしまった。

265: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 06:49:13.97 ID:T6f9KzZ2P
ほむら「-だめ、これは魔力も帯びた渦だわ。センサーが役に立たない。それにこの強風ではいずれにせよ・・・」
カッと衝撃波が襲った
ほむら「-!」
目を閉じて伏せるほむら。
ドーン
同じく身を屈めてやり過ごしたゴルゴはサバイバルスーツの胸ポケットから防塵ゴーグルを取り出すと装着し、
ゴルゴ「俺がやってみよう・・・」
そばに置いてある携帯型のロケットランチャーを手にし、ずるずるとほむらから離れてやや小高い場所に這って行った。

魔女『あーはははははははは』

268: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:54:10.67 ID:T6f9KzZ2P
ゴルゴ「!」
這って進むゴルゴの前を吹き飛ばされた縦1メートル横2メートルほどの金属の看板が飛んでくる。
咄嗟に身を伏せるゴルゴだが、頭の上を通りざまガンとライフルを背負った背中を直撃した。
ほむら「(ゴルゴ!)」
悲痛に意思伝達能力で声を掛けるほむら。
ゴルゴ「(・・・大丈夫だ・・・)」
上から来た衝撃によってライフルから受けた背骨への圧力の苦痛に顔を歪めながら、ゴルゴは再びずるずると這い始めた。

269: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:55:20.67 ID:T6f9KzZ2P
ギシッギシギシッ
ほむらが設置したパトリオットミサイルの滑走部の土台が強風に煽られ揺れて崩れ出し、
ガズン
支える金属部の一端があちこちの角度から強風の圧力によってくわえられるミサイルの荷重に耐えられず、
曲がり折れ、ドドーンという音とともに倒壊し、ミサイルは地に横たわった。
メリッバズンという音と共に民家の屋根がはがれ飛び、数メートル屋根が丸ごと風にあおられて飛んだ後、
一部はちぎれてそのまま遠くに飛んで行き、残りの大部分は重さでそのまま下に落ちた。
屋根瓦やブロック、看板や、木の枝などがビュウビュウと街中を舞っている。

270: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:55:58.27 ID:T6f9KzZ2P
杏子「-・・・!」
ビルの屋上から伏せてその光景を眺めていた杏子は、情報、側方と後方の四面に結界を強く張り、むくりと慎重に起き出し、槍を魔女に向けて強く投げ出した。
ビュウゥゥゥゥゥゥ
風に煽られて槍は魔女から遠く離れて飛んで行ってしまった。
魔女『あははははははは』
風を起こし始めては空中に静止して微塵も動かない姿勢ながら、杏子の攻撃を察した魔女は
カッ
と特に杏子に向けて強く衝撃波を放った。
杏子「-!」
顔を背け、腕でかばう杏子。
衝撃波を放った後は再び
魔女『あーははははははは』
幾分満足そうな調子を交えた高笑いが鳴り響き続けた。

271: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:57:01.16 ID:T6f9KzZ2P
ずるずると街中の大きな公園の小高い丘に登ったゴルゴ。
ゴルゴ「-!」
飛んでくる瓦礫のかけらを身を伏せて避け、見晴らしのきく丘の頂上に来ると、身を伏せたまま背中のM-16ライフルを取り構え、遠く上空に静止している魔女に向けて発射する。
ズギューン
すぐにライフルのスコープからゴーグルをつけた目を離し、弾の行き先を観察するゴルゴ。
発射音は強風によってすぐにかき消され、飛んで行った銃弾はつぶてのようにヒュンとどこかに消し飛んで行ってしまった。
ゴルゴ「・・・」
ズキューン
ヒュンッ
ゴルゴ「…」
ズキューン
ヒュンッ

「-・・・」
魔法少女の感応能力で互いに緊張を共有しながらゴルゴの挙動を見守る3人。

272: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:57:57.88 ID:T6f9KzZ2P
ズキューン
ヒュンッ
ゴルゴ「・・・」
何度目かにじっと弾の動きを観察していたゴルゴはライフルを横に置き、左横に置いておいたロケットランチャーをスコープに目に構えた。
ゴルゴ「(・・・風速81メートル。・・・縦の仰角23度、・・・35度の方向からくる向い風は楕円を描いて横切り、回っている・・・。
 ・・・発射【シュート】!)」
シュボッと魔女をめがけて右斜め上の方に放たれたランチャー弾は強風に煽られ、その弾頭を揺らつかせ、くくっと力なく飛んで行った後、
風に乗って吸い込まれるように魔女の頭と首に間に命中した。
魔女『あーぎゃあああああああああああああああ!』

273: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:58:28.66 ID:T6f9KzZ2P
「(-今!)」
悲鳴と共に風が一瞬弱まると、3人の魔法少女は一斉に身を起こし、攻撃を再開した。
シュパッ シュパッ シュパッ
キュゥゥゥゥゥン
キュゥゥゥゥゥン

ドゴオォォォォォォンザクッガスッドガァァァァァン

魔女の体に何発かのミサイルが、頭には槍と剣が突き立てられ、魔女は言葉も発せずにシュンと消えた。

274: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:00:06.29 ID:T6f9KzZ2P
魔女が消えると-残り風も完全に収まり、大気の圧力は完全に消え、シュウッと天頂から切れ間が広がるように暗い空が姿を消してゆき、
水平線上の雲間から輝く夕陽が照らし出す明るい空の下、瓦礫だらけの街に皆は立っていた。

夕陽に眩しく顔を照らされながら茫然とするほむら。やがて夏の夕方の湿気た涼しい空気の下、雀の鳴き声がちゅんちゅんと聞こえ始めた。

ビルからひょいひょいと足取り軽く、様々な建物の足場を見つけて飛び降りて、お互い待機していた場所の間の道路に着地し、笑顔でハイタッチし合うさやかと杏子。
二人はほむらの下に駆け寄った。
さやか「やったじゃん!」
杏子「やったなほむら!」
輝く笑顔で走り寄ってくる二人の方をほむらはぎこちなく首を回し、口を軽く開けてただ呆然と見るだけだった。
ゴルゴ「・・・」
いつの間にか愛用のカポラル葉巻を手に持ちながらゴルゴが近づいていた。
ゴルゴの顔を見てもぼーっと口を開けるだけのほむら。

275: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:00:58.42 ID:T6f9KzZ2P
まどか「-やったね、ほむらちゃん!」
やがて遠く後方に隠れていたまどかが走り寄ってきた。4人の傍に寄ると、膝に手をつき腰を屈めてハァハァ息をついて、汗だらけの顔を持ち上げると、笑顔で
まどか「-ウェヒヒ・・・。ちょっと疲れちゃった・・・。
 -でも、これでほむらちゃんは目的達成だね?」
ほむらは笑うまどかの顔を呆然と見つめていたが、やがて眼に徐々に光が宿り-
ほむら「-うんっ!」
満面の笑顔で少し首を傾げて元気よく答えた。常の冷たい声とは違い、女子中学生らしい邪気のない明るく甲高い声だ。
突然光が照らし出されるかのようにほむらの顔から表れた無邪気な笑顔に唖然として見とれる一同。

276: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:01:47.80 ID:T6f9KzZ2P
と、
キュウべえ「まさかワルプルギスの夜を倒すとはね-。おめでとうを-」
カチッ
ドガーン

277: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:02:27.75 ID:T6f9KzZ2P
「-!?」
突然起こった爆音に驚き振り向く少女たち。
一同が目を向けた先には焼け焦げてくぼんだ小さな瓦礫の跡があり、キュウべえの姿はどこにもない。
見ると、口に葉巻をくわえたまま手にリモコンスイッチを持っているゴルゴの姿があった。

キュウべえ「-やれやれ、せっかくのお祝いを-」
カチッ
ドゴーン
「!」
身を縮める四人。

278: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:03:13.77 ID:T6f9KzZ2P
キュウべえ「-なるほど、あらかじめ設置しておいた爆弾で-」
カチッ
ドガーン

279: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:04:39.97 ID:T6f9KzZ2P




しばらくは沈黙が包み、パラパラと砂状になった瓦礫がこぼれ落ちる音と、
シュウシュウ煙が立ち上る地面から発する熱を帯びた音。時々ガラリと大きな瓦礫が転げ落ちる音だけだった。

ゴルゴ「・・・」

280: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:05:34.22 ID:T6f9KzZ2P
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「困ると言ったじゃないか」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ゴルゴ「!」
少女たち「!?」
ハッと周りを見回すと、5人の周囲を30体ほどものキュウべえが取り囲んでいた。
キュウべえたちは口をそろえて言葉を発する。
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「確かに代わりはいくらでもいると言ったが、
 無意味に潰されたんじゃ仕方ない」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

ゴルゴ「・・・」
目を見開いたゴルゴの額から汗が浮かんでいる。少女たちも皆一様に警戒の色があるかなしかにせよ、恐怖の表情を浮かべている。

281: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:07:28.63 ID:T6f9KzZ2P
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「なるほど、『僕』を出てくる端から全て潰せば目的が達成できると思ったかい?
 でも残念だね。この通り『僕』はいくらでもいる。それともこの場にいる『僕』を全て殺してみるかい?
 その場合はまた代わりの『僕』が現れるだけだけどね」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ゴルゴ「・・・」
汗を流したまま目に入る数匹を睨みつけるゴルゴ。
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「まあいい。『僕』は見滝原の地から去るとするよ。
 -一同のキュウべえが一斉にまどかの方をぎょろりと向き、まどかは恐怖に身 を縮める-正直、鹿目まどかの素質は惜しい。
 というより宇宙全体のためにこれ以上ない損失だ。
 しかし君達-今度はまどかを取り囲む3人をじろっと見る。沈黙しながら思い思いに睨み返す3人-
 がそれを許さないだろうし、他の魔法少女をスカウトする上でも妨害があるだろうしね」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

282: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:08:55.93 ID:T6f9KzZ2P
キュウべえの群れはくるりと足場の違いから来る要素を除き、ほぼ同じ動作で振り向いて背を向け、
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「さようなら、鹿目まどか、美樹さやか、佐倉杏子、暁美ほむら-そしてゴルゴ13。
 これ以上の収穫が望めないのは残念だが、巴マミを魔女化することによって補われたエントロピーの値は大きな収穫だった」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
最後にゴルゴの方をじろっと見、
キュウべえ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「正直最後まで行動と結果に予測がつかない君だったが、収穫と損失が入り混じり、複雑だよ。
 ひょっとしたらこれが君たちの言う感情というやつに近いのかな?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
やがて完全に身を翻すと、ぴょこんと瓦礫の陰に隠れていき、あっという間に姿を消した。

ゴルゴ「・・・」

283: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:10:21.56 ID:T6f9KzZ2P
プルルルルルル
屋敷の洋間のリビングの電話が鳴る。
父「-も、もしもしっ!?」
慌てて取る父親。
ゴルゴ「-・・・悪いが、今回の依頼は失敗だ・・・」
父「-な、何だって!!??ゴルゴ13!-君ほどのものが!-キュ、キュウべえとかいう奴を仕留められなかったのか!?」
ゴルゴ「・・・俺は言い訳するつもりはない・・・。詳細な結果報告が欲しいなら、届けさせた代理の者の目の前で焼き捨てさせるという条件でレポートを送ろう・・・。
 ・・・金はすでに全額返金してあるが・・・、口座に問題があるならそう言ってくれ・・・」
父「さ、最後に教えてくれっ!君ほどのものが失敗するなんて一体どういう状況だったんだ!?」
ゴルゴ「・・・この世には俺の力の及ばないものがあるということだ・・・」
カチャッ ツーツーツー
電話を置いてあるデスクに手を突き、眼を強く閉じてうなだれる父親。
父「(-!何てことだっ-!-娘よ・・・、私はお前の仇を取れないのか・・・っ!)」
異変を感じてリビングに入ってきた母親、
母「-あなた・・・-。依頼が失敗したのね・・・。でも私たちはまだやり直せるわ。
 知り合いの人が養護施設を紹介してくれてね-。そこに大人しくっていい子がいるんですって-」
父親は妻に取りすがった
父「-・・・くっ・・・、-・・・くくっ・・・-」
涙を流す夫の肩を妻は優しく叩いた。

284: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:11:45.94 ID:T6f9KzZ2P
-ワシントンD.C.-CIA情報本部欧州分析部
資料の紙を片手に数多くつかみながら、ドアを勢いよく開けて部屋に入ってきた東アジア分析部のトムが、
一人部屋に残り、PCに向かって座り込みながら一心不乱に作業をしているサムに興奮した声で話しかける。
トム「おい、サム!ゴルゴ13が依頼を失敗したらしいぞ!」
サム「-な、何だって!?」
驚いて手を止め、PC画面から目を離すサム。
トム「何でもJAPANのMITAKIHARAとかいうシティでのことだそうなんだが-。これがいくら調べてみても詳細がさっぱりなんだ」
サムは隣に座ったトムの方にくるりとチェアを回し、脚を組んで後ろにもたれかかりながら片目を開けて天井を仰ぎ、左手で肘を支えた右腕の手の軽く作った拳を顎に当てた。
サム「MITAKIHARAにここのところ長期滞在していた話は知っている。だが、まさかあのゴルゴ13が仕損じるとはなぁ・・・」
トムは片手に資料の紙を持ったまま両腕を大きく広げ、
トム「そうなんだ!あの怪物【モンスター】が仕損じるなんて、相手は宇宙人【エイリアン】かも知れないぜ!?」
サム「はは・・・エイリアンか、面白い。ほんとにそうかもしれないな」
トムは腕時計を見ながら急いで立ち上がり、
トム「おっと、こうしちゃおれない。今入ったばかりの情報で、うちの部長はまだ知らないんだ。早くゴルゴが手空きになったことを知らせないと-。
 何といっても今回失敗したとはいえ、依然依頼の成功率は99.8パーセント越えだ。国家秘密本部の方に彼に依頼を頼みたい部長がいるそうなんだ」

慌ただしく去っていたトムを見送ると、サムは再びチェアに深く寄りかかり、両足を伸ばし、手を首の後ろで組んで天井を見上げると
サム「MITAKIHARAかぁ・・・。ゴルゴの狙撃を逃れるなんて、一体どんな魔法使い【マジシャン】がいるんだろうなぁ・・・」

285: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:13:05.72 ID:T6f9KzZ2P
夜10時
ブォーッ
ゴルゴが見滝原市内の道を国道に向かって車を運転していると、ヘッドライトに照らされた暗闇の前方に一人の少女が立っているのが見えた。
ゴルゴ「!」
魔法少女姿のほむらだった。

ゴルゴ「・・・何の用だ・・・?」
厳しい顔で車を降りるゴルゴ。
ほむらは顔を軽く俯けたままか細い声で、
ほむら「-あなたに-、お礼が言いたくて・・・」
ゴルゴ「・・・」
ゴルゴはじっとほむらを見下ろしていたが、
ゴルゴ「・・・俺は・・・依頼を失敗した身だ・・・」
再び車に乗り込もうとした。

286: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:15:04.67 ID:T6f9KzZ2P
ほむら「-待って!」
必死の顔でゴルゴを呼び止めるほむら。振り向いたゴルゴが見るその目にはすがる光が漂っていた。
ほむらは近付いて、向き直ったゴルゴの体に預けた両腕ごと寄りかかり、頭を胸に寄せ掛けると、語り始めた。
その湿ってかすれた声からは目から涙がとめどなく流れ落ちていることが示されていた。
ほむら「-あたしね-、この二か月間を-、まどかを守るために、何度も何度もやり直してきたの-」
ゴルゴ「・・・」
ほむら「-あたしの能力見たでしょ?-時間を止める能力。
 あれはね、まどかを助けたいって思いで時間をさかのぼる願い事で魔法少女になる契約をすることで得たものなの-」
胸に取りすがった顔をがばと上げた。美しい長髪は乱れ、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃに歪んでいる。
ほむら「-何度も・・・、-何度も助けようとしてきたわ-。-・・・でも、全部失敗しちゃって・・・-、・・・今回もひょっとして無理かと・・・-」
ゴルゴの胸のスーツに顔をごしごしとこすりつけて、胸に顔をうずめたまま深く深呼吸して、まだ涙と鼻水の跡で乱れた顔ながらもゴルゴを見上げ、キラキラ輝く瞳で、
ほむら「-でも、今回はあなたに会えた-」
優しい微笑を浮かべた。

287: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:16:04.76 ID:T6f9KzZ2P
胸から手を離し、数歩後じさって、内股の姿勢でやや顔を俯けて目を合わせず、
ほむら「-あなたのおかげでようやく無限の繰り返しから脱出することができたの-。
 今回もダメだったら、私はそのうち絶望からソウルジェムが濁り、魔女になっていたかもしれない」
数瞬沈黙したのち、
ほむら「-だから、-ありがとう」
やや首を傾げて、涙の粒を目の端からこぼしながら大きくにっこりと笑った。

288: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:17:00.40 ID:T6f9KzZ2P
ゴルゴはじっと黙って見つめた後、身を翻し、車に乗り込もうとした。
ほむら「-あ、待って-」
ほむらが手を伸ばす。
振り向いたゴルゴに対し、身に着けていた濃紺のヘアバンドを両手で取り外し、ゴルゴの目をおずおずと見つめながら、
ほむら「-これ、-受け取ってほしいの-」
差し出した。
頭部の前頂部の髪ががやや乱れたほむらの顔をじっと見つめると-
-ゴルゴは手を伸ばして受け取った。
ほむらはにこっとすると、安心したようにくすっと笑いもした。腰の後ろで手を組み、もじもじしたように足先を地面にこすりつける。

ゴルゴ「・・・」
ゴルゴはしばらくほむらを見つめた後、黙って車に乗り込んだ。
バスン
ブオォォー

発車して去ってゆくゴルゴの車をほむらは泣きとも笑いもつかぬ潤んだ瞳でじっと見つめていた。

289: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:17:52.22 ID:T6f9KzZ2P
-----------------------------------------------------------
夜の国道を運転しているゴルゴ。
やがてつけっぱなしにしているインターネットラジオから英語でDJの陽気な声が聞こえた。
『-はい、次の方はワシントンD.C.からボブさん!リクエストは-
 -讃美歌十三番!』
ゴルゴ「・・・」

隣の助手席に濃紺のヘッドバンドを乗せたまま、ゴルゴは車のハンドルを静かに高速道路の方向へと切り始めた。




fin.

290: 以下、VIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:18:23.83 ID:T6f9KzZ2P
完結

引用元: http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1415805596/



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